第9話『ドキドキの先行予約会』
今回は、ある取扱店で行われた「予約会」のお話。
先日、一足先にDOMELLEの2024SSコレクションを見て頂けるイベントが開催され、私とディレクターは初日のみ店頭スタッフとして参加させて頂きました。私たちは店舗を持たない卸ブランドですから、直接お客様の顔を見てお話する機会がない為、得難い大変貴重な体験となりました。
この取扱店による「予約会」の開催は、DOMELLEのデビューとなった2023AWに続く2回目ではありますが、今年は、冬支度はしたものの暖かい日がいつまでも続き、東京ではダウンジャケットを着るのもまだこれからという状況下で、未だ来ぬ冬のそのまた先の春夏の洋服を見に来られるお客様が何人いらっしゃるのか、正直不安でした。
でもそんな不安は杞憂でした。
既にデビューシーズンからDOMELLEを購入され、その着心地を大変気に入ってくださり、「さっそくリピーターになりました」と言うお客様。2024SSのパンツを試着されるやいなや「何この履き心地!」と驚きの表情。そうそう、このパンツはDOMELLE世代の方達に配慮した立体感や着心地を徹底的に追求したディテールが盛り込まれたブランド拘りのパンツ。このパンツの秘密についてはまたの機会にとっておこうと思いますが、この拘りがお客様にしっかり伝わっているんだなという喜びを直で感じることができてとっても嬉しく思いました。
ワンピースを試着されたお客様は、「やっぱりこうゆうワンピースにはポケット必要よね!」と一言。そうなんです。うちのディレクターはワンピースには必ず、どんなデザインでもできる限りポケットをつけるようにしています。なぜなら、ポケットがないと自分が困るからだそう。
やはり洋服作りをする上で、その洋服を着てくださる方の日常を想像することは大切な事です。私も実際に着用して座ってみたり、外を歩いて風になびかれてみたりすることがあります。
前話でご紹介したトワルチェックでも、「デザインと着心地」や「デザインと機能性」に折り合いをつけて、バランスの取り方を見定めようとする場面に多く遭遇するんです。
「ポケットが必要なのに、デザイン上そこにポケットは付けられない」
「デザイン上、首周りを小ぶりにする必要があるのに、この素材で首周りを小さくすると着脱しにくくなる」
なんてことが頻繁にあるんです。
デザインするって難しいですね。
少し脱線しますが、先日、海外の有名ブランドの有名バッグに触れる機会があったのですが、手に持った瞬間その重さにビックリしました。その重さは「14インチのMacBookでも入っているのかな」と勘繰ってしまうほど。思わず空のはずのバッグの中を覗き込んでしまいました。素材も素晴らしく、デザインも最高で、世界的に高評価を受ける大人気のバッグですが、私の価値観とは合わず、私の「欲しい物リスト」の上位にランクインしていたにも関わらず、あっけなくリストから外されることとなってしまいました。
洋服に向き合う時の価値観や趣味趣向も人それぞれ、年齢も体型も千差万別なので正解はないのかも知れません。全ての方々から100点をいただける洋服なんてないのかも知れませんね。
だからこそブランドとしてのポリシーというか、価値観をしっかりとそのデザインに反映させて行くことが大切だなと思いますし、私の役割としては、取扱店を通してどうお客様にお伝えするか、ご理解いただくかが最大の課題となっているんですが、今回の「予約会」では、価値観が一致するお客様たちとお会いすることができたことが本当に嬉しくて、嬉しくて。楽しそうにお洋服選びをするお客様の顔を見ることができるのは、私たちの洋服作りの糧にもなります。
さて、来週は待ちに待ったクリスマス。
皆さま素敵な夜をお過ごしください。