第8話 『トワルチェックについて』

トワル?のチェック?
業界ではよく使われる言葉ですが、皆さんにはあまり馴染みのない言語なのではないでしょうか。
そもそもの言語についてご説明します。
トワル(Toile)というのはフランス語で、仮縫いのサンプルを意味します。
つまり試作品、サンプルです。
実際の生地を使って縫う前に、コットンのつぶつぶ(ネップと言います)が残ったままの自然な状態のシーチングと言われる生地を使用して作成します。

なぜって、先ずは試作品を作ってみて、「あ、丈がもっと短い方がいい」と思えば、その場でチョキチョキ切ったり、逆に「もっと長い方がいい」と思ったら生地を貼り付けたりして試行錯誤をするのですが、実際に製品に使用する生地はとても高価なので、そんなことできるはずありません。そのため、比較的安価なシーチングを使用するのです。
そして、デザインというイメージの世界から、第4話「マーキングは真面目なテトリス」でご紹介したパタンナーが型紙を作成し、シーチングを裁断し、縫っていくわけです。

その完成した試作品をマネキンやモデルに着せて、デザイナーが自分の思い描いていたデザイン通りかどうか、着心地は悪くないか、実際の生地で作成しても問題ないのかなどを細かくチェックしていきます。
その作業を『トワルチェック』と言います。
この作業に入るといつも、「かわい~」「素敵~」と内なる興奮の声が止まりません。そんな感情は全く表には出しませんよ。製品が形になるとても重要な工程の一つで、デザイナーやパタンナーたちにとっては気を抜く余地の全くない真剣作業ですからね。でも、まだこの世に存在しないものを新たに生み出し、実際の形に創り上げて行くわけですから、ワクワクしますよね。
つい最近、来年の秋冬シーズンのトワルチェックを終えたところです。
発表できるのは約1年後とまだまだ先ですが、とっても素敵なコレクションになりそうなので是非楽しみにしていてください!
当ブランドの Instagram【@domelle_lookbook】のリールズにもトワルチェックの様子がムービーで公開されています。